スポンサーサイト

--/--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

風のひと

05/28
  湖の漣のように揺れていたわね。雲が立ち込めても、天を舞い踊る風は雲をちぎり、隙間から太陽の光をやわらかに置き換えて、届けてくれていた。まるで祝福のように降り注いでくれていたから、水面が竪琴の弦のように響いていたの。その音色に聴き入っていた。静寂を握りしめて、たかめ合うことを信じていたの。
  夢ではなかったのよ。だって、夢なら風の温度を感じることはなかったはず。冷たい風もあたたかな風も、分かっていたわ。上着を着たり脱いだりしながら、吹きぬける呼吸を受け容れていたつもりになっていた。だけど、そうじゃなかったの。嵐の種を蒔けば嵐を刈り取ることに、知識ばかりで固めて 行いのない蓋をしてはいけなかったのね。
  あらゆる風の行方の場所を知っていたかしら?吹き荒む暴風もなだらかなそよ風も、すべての風の行方は未来に向かって吹いていて、この世には過去に向かう風は存在しないこと。まるで時間の流れのように風は吹いていたけれど、風は時間ではなかったの。風が吹かなくても時間は流れていたから。
  魂のつながりに刻印なんて必要なかったのかもしれないけれど、わたしたちは夢のなかでは暮らせない。時間も風も流れることのない夢の世界では、魂は育まれないことを知ってしまったの。人肌を感じていたかったのならなお更のこと。許されるまで、向き合っていきたかったのよ。綺麗ごとなんて、つまらない。突き刺さる苦渋さえも温もりの波紋に溶かしてゆく、そんな心の異変を歓迎していたかったの。
  あなたはいつまで覚えていてくれるかしら。人が生まれてきたのは、消えた記憶を想い出すことだったの。あなたから過去の墓標が消えてしまっても、風の在り処を想い出してくれるかしら。あなたが忘れてしまっても、あなたの隣を吹き抜けていく風は、真実の愛だったの。愛をありがとう、と唄っているのよ。







スポンサーサイト
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

水月りら (みづき りら)

Author:水月りら (みづき りら)
詩☆

☆すべての作品は、最愛のあなたのために☆
☆作品の著作権は、水月りらにあります。

最新記事
最新コメント
検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。