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木薫薔薇

05/06
空が色を忘れてしまうほど
檸檬色の薫りが吹きぬける
華やぐ木香薔薇に漂う
残照の褪せない影

真っ白な便箋には
忘れてください
たったそれだけの文字
セピア色のインクは
靡いていたあなたの髪のように
浮きあがっていた
もう逢うことはないからと言っていた
最後のあなたの声に
空が色を失くしてしまった
あの日をたどる皐月の午後

この空から色が失われたとしても
木香薔薇はひらく時を覚えているわ
花は枯れることをよく分かっているの
だから鮮やかに咲き乱れるのは
一本の樹のかなしみなのよ

そう言ってあなたが口づけていた白いカップ
うっすらと染まる薄紅を細い指で拭っていた
カフェの窓越しに見える木香薔薇
紅茶に添えられた檸檬をふくみ
鼻筋に皺を寄せてあなたは話していた

あなたのくちびるの薄紅を
思い出すたびに檸檬をかじり
酸っぱさが喉を過ぎてゆく
あなたのように鼻筋に皺を寄せてぼくは
いまだに木香薔薇に檸檬を重ねていた

からっぽのカップには白い光沢だけ
となりの空席には紅の残るカップの幻と
薄切りの檸檬が焦がれた薫りのように
記憶が空を奪うほど幻影は檸檬色になり
顔を思い出せなくなるほど
あなたは薔薇になる










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