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月の涙

09/02
月のまるい夜 
夜露にしっとりとした砂浜を 
素足で歩いている 
鎮まる波に月の光が零れて 
それは銀でも金でもなく 
ゆらりと揺らめく水面は漆黒(しっこく)の鏡になり 
はるかな道のりをこんなに近く、
その年輪を映している

月は不思議だね 
ほんとうはいつでも同じ形なのに 
光と影の衣装をまとい 
完全であることを避(さ)けているのは 
まるで、生きようとしている
人の姿のようだね

欠落にさまよう未熟さと 
混沌(カオス)に乱れる思考が突き刺した  
だだっ広い夜空の傷痕を
爪型(つめがた)の三日月が照らしていた 
空から離れて生きてはいけないのに 
あたりまえのように隣にあるものに 
我がままに振る舞えたのは 
指をからめる寂しさを知る
君のやさしさだった

美しい光は目映(まばゆ)くて 
美しすぎて近寄りがたいから 
人はくちづけの時に目を閉じる 
そのひとときに浸(ひた)るほど 
ほのめく輪郭の 
おぼろ気なすき間に
安らぎを見つけていた 

「いつだって、まるい光だったら、
 おそらく月を眺めてはいないだろうね」

そう言って、君が見つめていた
灯かり取りの窓に 
ほどき合う指の隔(へだ)たりが冴え返る

あの日の月の紅さよりも 
今宵(こよい)の月の白さに 
語り明かした君のぬくもりを想い出す 
秘密にすることばかりの負い目を背負い 
振る舞いとうらはらの朔月(さくげつ)は 
奏でるほど言葉を紛(まが)い物にしていたね 

忘れたいことと覚えておきたいことの 
どちらを多く、人は抱えていくのだろう 
死を迎える日まで

波打ち際にしゃりしゃりと踏む砂は 
渇く踵(かかと)をなぐさめている 
割り切れない奇数の一つの余りを 
分け合うことが思いやりなのだと囁やく月の影 
飛沫(ひまつ)の夢は波の濁音になり寄せては還る 
過去に月が流した涙のように 
たおやかな波折(なお)りは 
曲がりくねる足跡を呑み込んで 
何もなかったように
夢幻を消していた







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